技術者冥利

技術者というのはなかなか人目にでないし何をしているんだろう？　と言われることも良くある職業だと思います。
特に　黙々と研究や開発をしている人にとって、世の中にお目見えする　品物やソフトウエアのほんの一部分と言うこともあり、他からは見えづらい事があります。

私も　ある意味同じで　「お父さんは何をしているんだろうか？」　「　職業は？　」なんて言われたこともあり、　なんとなく　変な気分になったものです。

しかし　技術屋として他の職業には無い　喜びというか　恩恵も多々あります。

たとえば　そうですねえ・・皆様に解りそうなイメージと言えば・・・・人工衛星。　今回　星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入の成功の記事は　凄い！　と思いましたし、きっと　それに携わった人たちは　一人で拳を握りしめたり、美味しいお酒を飲んでいるのではないかと・・・・　ちょっと友人から聞いた話では、１万回も計算したとか・・・最も噴射量を少なく軌道に乗せる方法の事らしいのですが、周りの人から見ると何をしているんだろう？　と思うことになるかもしれませんし、その技術以外では、天才的な能力と、その努力全てを評価してくれていると言うことは無いと思います。
しかし　軌道に乗せた瞬間の喜びは凄かっただろうな　と想像できます。

私は全然凄くないのですが、それでも人工衛星関連は　何機か行いましたが、　打ち上げ成功だけでも嬉しいのですが、　スペースシャトルで帰還したときには　本当に本当に嬉しかったです。　一人で酒を飲み喜びをかみしめました。とにかく結果が分かるまでが長いですから・・・
この　瞬間の　ガッツポーズと美味しい酒は　技術屋にしか解らないことだと思います。　これは本当に大きな　自分へのリターンで有り、次の糧になります。

なぜ　こんな　暗いイメージでの祝杯になるかというと　まあ　こういう開発は、その場にいる人間は他に話せないのです。業務機密ですから・・・・

ビルを建ててる人でも　職人さんでも、業務機密のある中での何らかのプロジェクトに携わっている人は皆　こんな感じで喜びをかみしめているのではないかと思っています。

今年も　そういう事が　この一年で何回かありました。それも長期戦での結果なので　何年も前、何十年も前から始めたこと等もあります。
しかし　苦労は凄かったですね。・・・で　上手くいったときは自分へのご褒美で　ちょっとしたごちそうを作ったりして技術屋としての喜びを味わっています。　そんなときには　当然家族も美味しいものが食べられます(笑）
将来　きっと　美味しい物を作ってくれたときは何かしら成功したときなんだろうと　皆分かってくれる時が来ると思っています(汗）

というわけで　もう師走であと　２０日あまりとなりましたが、とにかく早いですね。一年というのは・・・

苦労の日々ですが、　ほんの少しでもこういう　技術屋冥利に尽きることがあると、元気が出ます。
年末まで仕事は　かなり詰まっていますが、頑張ろうと思います。