SSブログ

バランス接続の誤解 [オーディオ]

何度か ここでも書いておりますが、まだまだヘッドフォンやスピーカーのバランス接続の誤解が多いです。

ある お客様
「いやあ やはりバランスはよい。私のアンプにもバランスコネクタが(XLR)付いている。そこにつなぐと・・・・」
この場合 他は換えてないので
入力は バランスで入っても バランス→アンバランスアンプ→アース共通接続スピーカー となっているはずで意味が全く異なっています。

伝送のバランスはノイズが入った際に そのノイズをキャンセルするためのもので 全く意味が異なります。
そのお客様はバランス接続にしたことで ノイズの影響が減ったのかもしれません。 現在ではシールドされていない RCAケーブルも存在しますので ノイズだらけで再生されている方も多いです。こういう場合 アンバラ接続から バランス接続にすることで 音質は 激変するはずです。

さて ここで問題にしている ヘッドフォンやスピーカーのバランス再生の話に戻ります。
スピーカーやヘッドフォンをバランス駆動するためには プラス側とマイナス側が逆相でドライブされている必要があります。これはアンプのブリッジ接続と同じでは? と言う人がいますが、ブリッジ接続は 位相反転回路が入りますので 完全にバランスがとれて再生しているわけではありません。 ブリッジの音の悪さを指摘したかたもいらっしゃいましたが 勝負所は位相反転回路で これが理想的ではないと アンプのプラス側用とマイナス側で異なる動きをするため 逆に理想的ではない動作になってしまいます。 昔のブリッジの音の悪さはこういうところから来ていると思っています。
ただ反転するだけ ということで問題無いと思われている方も多いようですが、そもそも位相反転には 異なる回路を使うため 動作が異なります。 全く同じにはなりません。 
最近では ほぼ全ての回路がオペアンプになりましたが、最近の高精度オペアンプはかなり特性が良くなっています。一例を上げますと 昔の汎用オペアンプは 反転回路と非反転回路のCMRRにかなり差がありましたし 特性も使う抵抗でかなり変わってきますので問題は多かったのですが、最近のオペアンプを使用して なおかつ 回路を知ってきちんと設計したものですと 位相反転回路もかなり高精度で良いものができるようになったと感じています。

回路図だけを書いた専門書を見たり、シミュレータで設計したものでは問題があることが多いです。アナログ回路は パターンも重要です。 高精度回路はパターンの引き回しはもちろん、基板材質や処理 発熱体(抵抗など)の位置や 周辺温度の安定化、デカップリングの仕方などかなり多枝に渡る実践の技術が必要ですが、そういうところをきちんと行った回路では、最近では素材の進歩でかなり良いものができるようになりましたので 単なるブリッジではなく バランス再生 と言うところから見た専用回路設計をすると 理想に近い良いものができるはずです。安易に DCサーボをかけたりしてごまかしたり、カップリングコンデンサーを入れてバイアスがかかった状態で使ったり理想的でない動作をさせているとやはり好ましくありません。サーボなどは必ず遅れがあるからなのと バイアスがあるのと無いのでは 特性が変わってしまいます。 余談となりますが、 こういう面では 量産ではない 「選別」と言うような手法を使った機器が優位になる部分です。

さて ここで質問が来そうですが、「では なぜプロ用機器などで使われているバランスは問題無いの!?」 
これは 前述のノイズが入った場合にそれをキャンセルするためのものですから たとえば特性がすこし異なっていても ノイズの除去率が悪くなるだけで ノイズ除去は効果がかなり期待できますので採用していると言うことなのです。

ということで 私が提案したのは DDAC-Pro2で雑誌にも発表しましたが デジタル状態で反転させ 全段にプラスとマイナスで同じアンプを使った完全バランス方式の再生です。これですと データ自体が反転しているわけですし、アナログ増幅部は全て プラスとマイナスで同じ動作をすることになり 完璧に近くなります。もちろん 全段で 左右2台ずつ アンプが必要です。
デジタルから完全に位相反転して出力した DACはDDAC-Pro2が初めてかもしれません。
これですと 音質劣化を最小にした本来の意味のバランス接続上でのノイズの除去と言う目的での動作もかなり理想的になるはずです。信号がプラスとマイナス(ホットとコールド)で変わらないのですから当たり前です。

このときに注意しなければならないのは 共通インピーダンスです。せっかくプラスとマイナスを分けているのに(逆相でのドライブ)共通インピーダンスがあると 理想から外れます。プラスかマイナス、左右などどれかが動作したときにその反対側や他の特性が変わるからです。
またバランス再生という面では一度機器に入れてバランスをアンバラに変えてしまうとせっかくの完全バランスが崩れます。
アッテネータだけにして アンプ2台でスピーカーをドライブすれば理想になります。

では 一般のDACをお使いの場合にはどうすればいいのでしょうか?

すこし理想から外れますが、アンバラ伝送させてアンプ手前で高性能のブリッジを組み共通インピーダンスのない2台のステレオアンプで再生すれば理想に近くなります。バランスが崩れる瞬間は 一カ所の変換だけで済むからです。それもある程度レベルが高い状態なので アンプの特性も良好です。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0